ゴルフスイングの潮流の中で、古くからある教えの中に、「べた足でスイングせよ」というスタイルがあります。
あなたは過去に、べた足でスイングすることに、注意を向けて練習したことはありますか?
ベストスコアを更新するために、自分のスイングをべた足打法にする必要はあるのでしょうか?
コーチが、べた足で打てと、あなたに教える場合、なぜそう教えるのか考えてみましょう。
べた足でのバックスイングについて
ゴルフスイングのスタート、ハーフウェイバックからトップに至る過程で、
ゴルファーには、
- 左かかとを上げる、いわゆるヒールアップをするプレーヤー
- 左かかとを上げずにべた足のままトップオブスイングまで行き着くプレーヤー
が、います。
あなたはどちらでしょう?
べた足バックスイングのメリットは?
あなたがもし、コーチやゴルフ仲間から、べた足でのバックスイングをすすめられたとしたら、たぶんあなたは、
バックスイングで体が動き過ぎている可能性があります。
下半身が動き過ぎて、上半身と下半身の捻転差が出来ていない。
そうなると、パワーが溜まりません。
バッバ・ワトソンやジャック・ニクラスなど、バックスイングでヒールアップする名選手は、切り返しで左かかとを下ろす時に、上半身を我慢できるので、上半身と下半身の捻転さがしっかりとできます。
しかし、
そんなゴルファーには、左足かかとを地面につけたまま、上半身を捻りあげるような気持ちでバックスイングを行うほうが、捻転差を感じやすくクラブヘッドにパワーが伝わりやすいと考えられます。
べた足バックスイングのデメリットは?
べた足でバックスイングをするデメリットを敢えてあげてみます。
世界のトッププレーヤーがべた足でバックスイングしているのに、デメリットを上げていくのはおかしいですが、べた足バックスイングにもデメリットはあります。
べた足バックスイングはタイミングがとりずらい
べた足でのバックスイングはトップでの切り返しでのタイミングが、人によってはとりずらいとも言えます。
リズム感の悪い人にとっては、スイングテンポを揃えにくい傾向があります。
べた足バックスイングの選手のダウンスイングの始動は様々です。
- 左腰を目標方向へ動かす
- 左膝をスライドさせる
など、
べた足バックスイングの選手の中には、松山英樹選手や、宮里藍さんのように、トップで、いったん止まるというタイミングの取り方をするプレーヤーもいます。
それに対し、バックスイングからトップにかけて左足かかとを上げるプレーヤーのダウンスインの指導は、ただひとつ、
左足かかとを地面につけるの一点に絞られます。
べた足打法は飛ばすための方法ではない
ここで野球の話になりますが、世界のホームラン王、王貞治選手は、一本足打法を始める前は、平均点のバッターにとどまっていました。
その頃の王貞治選手はバッティングでのタイミングの取り方があまり上手くなかったので、荒川バッティングコーチが、タイミングをとるアイディアとして、「一本足打法」を教えたのです。
それに加えて、一本足打法は、片足に全体重を乗せるというウェイトシフトを行う打法なので打球の飛距離も増し、王貞治選手はここから世界のホームラン王に向かって飛躍していきました。
このように、一本足打法の原理を活用して、小柄ながらも飛ばし屋として活躍したのは、倉本昌弘選手や伊沢利光選手です。
ドラコン大会で名を馳せた、岩間健二郎プロも、大会では一本足打法を採用していました。
これを鑑みれば、一本足打法と対極にあるべた足打法は「飛距離」を目的とした打法でないことはハッキリと分かります。
コーチは、飛ばすためにべた足を教えていません。
ダウンスイングでのべた足が重要
トップで切り返し、両腕とクラブがインパクトゾーンに向けて下りてくるこの時間こそ、べた足であることが重要であると私は考えます。
非力なジュニアゴルファーなどは、このダウンスイングの時に、右足かかとが蹴り上がってしまう症状が見受けられます。なんとなくイメージできますよね。
あれを、大人がやってはいけないということです。
クラブがスイングプレーンに乗るまでの間、右足かかとは地面についている。
もしくは、右足かかとが浮いたとしても、右足の裏全体が、地面を向いていることが望ましい形です。
右足かかとが浮き上がって、足の裏が横を向いている選手は最近のプロには見当たりません。
べた足のままでのインパクトするべきか?
プロゴルファーの中にはインパクト直後でもまだ、右足のかかとを地面につけたままのプレーヤーがいます。
あなたはこれを真似るべきでしょうか?
レッスンビデオの一流コーチや、あなたの信頼できる指導者は、べた足のままボールを捕らえろと教えているでしょうか?
べた足インパクトのメリット
両足をべた足にしていれば、頭がスエーしないように気をつければ、3点が固定しているのだから、それ以外の動きがアバウトでも、インパクトは安定するのではないか、と考えることもできます。
体が開きやすく、先へ先へと行ってしまうスイングをしている人には、右足かかとを地面につけたままにしておけば、開きすぎる下半身を制御できます。
中には、青木功選手のように、べた足で下半身を止め、手を振れ!と教えるプレーヤーもいます。
現在、ゴルフギアの進化に伴い、身体能力をフルに使わなくても飛距離を得られる時代になっています。
女子プロゴルファーにも、べた足打法のプレーヤーが見受けられるのも、道具の進化におうところが大きいでしょう。
べた足インパクトのデメリット
べた足インパクトのデメリットは、メリットと表裏一体ですが、それこそ、あなたがべた足打法を取り入れるか否かの指標になります。
下半身のパワーがフル活用しづらい
べた足でインパクトするためには、膝の動きを抑えなければなりません。
飛ばし屋のバッバ・ワトソンは、インパクトでは、両足のかかとが浮き上がっています。
そう考えると、
もしあなたが、飛ばしに比重を置きたいにであれば、べた足にこだわるべきではないと考えます。
かかとを上げないのは、やはり不自然
インパクトまで、右足かかとを上げずにインパクトすることは、短いクラブであれば普通のことだと思います。
しかし、ドライバーでのスイングの場合、必然ではありません。
べた足インパクトの選手のスイングのスローモーション動画を見ても、正直、不自然に見えます。
決して流れるようなスイングではありません。
しかし、そうやって下半身のパワーを必要としなくても、飛距離を得られる現状がありますから、べた足によって、ショットの精度が上がるなら、アマチュアゴルファーも、取り入れるべきです。
べた足は、体形やスタンスで変わる
一流プロの中には、ダウンスイング中に右足かかとが上がり始める選手がたくさんいます。
彼らは、べた足論争など、どこ吹く風で、まったく意識していません。
スタンスの広い石川遼選手などは、右足かかとを地面につけたままインパクトすることはまず不可能です。
体型やアドレスでのスタンス幅、膝の曲げ具合は、一流プロでも様々です。
べた足が絶対合わないゴルファーもいるのは明らかです。
しかし、べた足打法をすすめるコーチの意見に耳を傾けてみるの悪くはありません。
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